巷で話題の干物女。 あぁ、すいません。それあたしです。 恋って何ですか?それっておいしいもんなんですか……? ……すいませんふざけすぎました。 流石にそこまで酷くはないけど、恋の仕方は忘れた。 どきどきって何?赤点隠すときの感覚?みたいな感じなんです。 今更ですが、やっぱこれっていくらなんでもまずいですよね……。 放課後友達が恋バナで盛り上がっているのを尻目にあたしは話を聞いてるフリだけして 「あぁ、ドラマの再放送みたかった……。」 なんてことを考えている。 もう日は暮れ始めていて、東の方はうっすらと群青色。 それをみるとあたしの思考は 「今日の10時からはドラマかバラエティかどっちをみるつもりだったんだっけ?」に切り替わり、 新聞のテレビ欄を思い出そうとするようになった。 「ちょっとぉ、さっきから聞いてる?」 「あ、あぁー。ごめん。ぼーっとしてた。」 「もー。恋愛の話になるとすぐそうなんだから。」 「テレビの話だと熱いのにねー。」 「あっ、それわかる。ね、好きな人とかいないの?もしかして聞かれたくないから話に乗らない、とか!?」 『あぁー!!なるほどー!!』 一同納得。 って違いますから。 「何々?楽しそうな話してんじゃん。俺もまぜてよ。」 『山本くーん!!』 一同テンションが上がる。 って何でですか。 あっ、この1人だけに起こる盛下がり具合がKY、そして干物女と呼ばれる所以か。なるほど。 「あのさ、期待されても困るから先に言うけどあたし好きな人なんていないからね。」 『えぇー!!うそー!?』 一同(山本除く)ブーイング。 って何でですか。 「冗談きついよ。」 「ねぇ、恋人、せめて好きな人位つくったほうがいいよ?」 「何で?」 「楽しいから?」 「今も十分楽しいよ。」 「もっと、ってこと!!」 楽しさの次元が違うよーと訳知り顔でいったアンタ、彼氏いないだろ。知ってるぞあたしでも。 「誰か立候補するならね。あたし、自分からはめんどくさい。」 「あっ、じゃあちょうどいいじゃん。俺、お前のこと好きだし!」 『ええー!?』 一同(山本除く・あたし含む)ブーイング。 恋人立候補 |