ボケるんじゃないかって位無駄にあったかくてふわふわして眠くなるような天気の午後。 ボスからは特に何の仕事も言い渡されてなくて (まぁあたしの代わりにスクアーロかレヴィあたりが汗水垂らしてせっせとまるで蟻の如く働いているんだろうけど)、 暇を持て余したあたしは、のんびりとアフタヌーンティーなんてものを楽しんでいるわけです。ガラでもなく。
……。ってうっわっいけない!本当に寝ちゃいそうだったよ、今。ふわっときた。ふわっと。ここアジトのリビングなのに。 みんなに寝顔晒すところだった。(すっぴん見られるより、ある意味、怖い。)





「あのさー、 ー。恋ってどんなのなの?」



「うわあっ!?」





何だよ、そんなに驚くことないだろー。と言ってベルはあたしの許可を得ないで勝手にあたしの隣にどかっと座った。 いや、ここ別にあたしの場所って決まってるわけではないですけどね。別にどこに座ろうが彼の勝手ですがね。 まっ、気分の問題。





「(どっから湧いてでてきたんだよ、ベルの野郎……。)」



「あのさ、 、オレの話聞いてた?」



「……ごめん。なんだっけ?」



「お前、オレが優しくなかったら殺してるぞ。」



「(本当に優しい奴は話聞いてもらえなかった位で殺そうなんて思わないよ。)うん、ごめん。本当にごめん。」





あたしの謝り方が気に入らなかったのか、ベルは不服そうな顔をした。 あたしはもちろん無視して、「それでどうしたの?」と優しく聞いた。





「いや、最近レヴィの様子がおかしいってルッスーリアが言ってるから何がおかしいのか聞いてみたら、 『なんていうのかしら……?こうフェロモンが出てるっていうかー、少しいつもと雰囲気が違うのよ。恋でもしたのかしら?』 とか何とかあのオカマ、言ってたからさ。」



「とりあえずあたしは恋するレヴィも、フェロモン出てるレヴィも想像したくない。」



「だろ?」



「うん。」



「オレも最初ルッスーリアがボケてるんじゃないかと思った。」





奇遇だな。あたしも今し方この気候は人をボケさせる効果を持っているんじゃないかと考えていたところなのだよ。





「でもさ、よく観察してみるとレヴィの野郎、やっぱいつもと様子が違うような気もしてくるわけ。 なんか薄気味悪い微笑み浮かべて頬染めてみたりしてさ。」



「へー……あのレヴィが、ね……。」





薄気味悪い。というよりもむしろ気持ち悪い。
そう思った途端、脳が想像する、という機能を停止した。





「確かに気持ち悪いぜ?でもあれが別の奴の行動だったらまた違って見えるだろうしさ。んで王子考えたんだよ。 もし本当にあのレヴィを変えてるものが恋だと仮定したら恋って何?そんなにすごいもんなのか?って。」





ベルらしくない深刻な顔。
こいつもしかして





「あのさ、今更なんだけど、ベル、本当に恋したことないの?」



「ないよ。」





川の水が流れるようにベルの口は滑らかに言葉を紡いだ。一瞬の躊躇もない。
それに比べてあたしはベルの回答があまりにも意外で、水が凍ったみたいにフリーズ。いや、凍ってるからフリーズなのか。
(ボケてるなぁ……。この穏やかな気候と、おかしなベルのせいだ。)
それにしてもベル、女遊び激しそうな感じするのに。





「じゃあさ、なんか胸がどきどきしたりとかすることない?」



「強い殺し屋と対峙するときとか。」





こいつに恋だとか人間らしい感情を求めたあたしがバカでした。










You should at least love!










「うん。ベル、君には一生恋なんて理解できないよ。」





バイバイ、あたし1回寝てくるわ。と言って席を立とうとしたら、ベルは思いがけずあたしの手を引っ張った。





「……何?」



「オレ、結局恋が何かわかんないし、それにオレ、さっきのやつ、最後まで答えてないし。」



「……どういうこと?」



「オレ、 のこと見ててもどきどきするから。」